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特集 西粟倉の農業
ー 西粟倉の農業 ー
林業の村としてのイメージが強い西粟倉村ではありますが、昔から農業への取組も盛んに行われてきました。例えば、ほうれん草やミニカボチャなど新しい農作物にも挑戦してきました。しかし、全国的に課題となってきているのが担い手不足です。西粟倉村も同じく農業の担い手不足に悩まされている現状があります。
そんな中、西粟倉では家族間協定を結ばれたり、村外の方が田んぼや畑を継承し農業を続けられるといったケースが増えてきています。今回は村内でアスパラを育てられてきた延東義太さんと、その畑を引き継がれている原田壮太朗さんにお話を伺いました。
アスパラ作りのきっかけを教えて下さい
延東さん(以下敬称略)平成10年当時は「米が余っているから米を作らないように」というのが政府の意向でした。お米以外にどうしようかな。キャベツや白菜は苗から作らないといけないし、もっと手のかからないものはないだろうかと考えていました。色々と本を読んだりして、外国の野菜であるアスパラを山間地で育ててみようと思いました。苗を作って2年目の夏頃から収穫ができるようになります。その後は株を大切にすれば何年でも使えるというところに魅力を感じました。
3年ほど前に誰かに畑を預かってほしいと思って人を探していたところ、人づてに原田くんを紹介してもらいました。
原田さん(以下敬称略)私が農業をやっていると知っていた人からアスパラを引き継いでみないかと声をかけられたのがきっかけです。元々秋に収穫のあるものを作っていました。春と夏に収穫できて、収入が得られるものがないか探していました。アスパラは初期投資が大きいし、植えてすぐに収穫できるわけでないので手が出にくいですが、それを引き継いでやることは勉強もできると思い、お話を受けました。それから利用権設定をして5カ年契約で師匠(延東さん)の畑を借りています。
産業廃棄物を活かした独自の栽培方法
グリーンアスパラと比べ希少価値の高いホワイトアスパラ。日光の紫外線を完全に遮断しながら栽培することで真っ白なアスパラに育ちます。
多くはハウスごと日光が当たらないようにしたり、土で埋めて栽培するのが一般的ですが、延東さんの畑のような路地栽培では困難かつ莫大な費用はかかってしまいます。そこで考案したのが雨樋を利用した栽培方法でした。
延東 コストが一切かからない産業廃棄物の雨樋を使おうと思いつきました。樋屋さんへ行って、捨てる予定の雨樋をもらってきて、蓋の代わりに畑用のマルチを使います、日光を遮断でき、上を撫でれば、所定の長さまで伸びたかどうかも確認できます。全部の筒を撫でて確認するのは大変ですが、その方法を今は原田くんが引き継いでいます。
原田 師匠の畑のような路地栽培で光を遮るのは難しいんです。露地栽培でホワイトアスパラを育てられていることはなかなかありません。
アスパラ作りの苦労・楽しさを教えてください。
延東 一番大変なことは春に病気抑えのためにまずガスバーナーで畑を焼く事です。枯れた夏芽に病気の菌が付くので、それを熱殺菌します。他にも堆肥をふったり、肥料をふったり色々大変なことはあります。
それでもやりかけたら楽しいんです。楽しさを感じてやれたら一番良いと思っています。
原田 大変なことは山ほどあります。収穫するまでもですが、収穫してから出荷までもやることがたくさんあります。
農業って野菜が作れて当たり前で、減点方式だと思うんです。この畑から取れる収穫量、売り上げはこのぐらいと決まっていて、そこから経費や病気になれば売り上げからこれだけ減っていくなと。師匠も凄い方だから追いつかないといけないとも思います。だからこそお客さんが喜んでくれることが嬉しんです。知り合いが買ってくれたりすると自分の作ったものが認められているなと感じます。
延東さんの畑の凄さ・発見したことを教えてください
原田 農業普及センターに農作物の作り方があるんです。岡山県北部である美作のあたりで出されているものなので、西粟倉では気候も全く違っていて、その作り方どおりでは間に合わないことが多いです。雪があるので無理なこともいっぱいあります。そのような中で、師匠は自分で考えて、理論と経験に基づいた勘と工夫で西粟倉にあったアスパラ栽培をされていて、普及センターの人や教科書に載っていることでは絶対に分からないことだと思います。この地域でアスパラを作っていた人じゃないとわからない情報や知恵を教えてもらっていますね。自分で考えて、この地域の特徴からこうしようとか、風、日射量まで考えてやられているのは凄いと思いました。それでも楽ができるところは楽をして、ポイントはしっかり抑えられているのが師匠のやり方で、ネット一つみても専用のものではなく、代用できる格安なものを使われていたり、学校では学べないことを教えてもらえています。
今後どうしていきたいですか
延東 畑を返す時には綺麗な土地にして返してもらえたら十分です。
原田 いつかは綺麗にして畑をお返ししたいと思っています。技術は学ばせてもらってますし、アスパラっておもしろい作物ではあると思ったので、これから今の畑より大きくして専業としてやっていくか、今の面積と同じくらいで他の仕事をしながらでも絶対に農業を続けたいです。
今回のインタビューにあたりお二人に対談してもらいました。原田さんがアスパラ栽培や農業について話す様子を嬉しそうに眺めておられる延東さんと、延東さんのことを「師匠」と慕い、技術や知恵をしっかりと引き継いでいこうという原田さんの前向きな姿勢が印象的な時間となりました。
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