広報にしあわくら 2023年3月号より

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特集 育てる人と食べる人を繋ぐ

村の野菜宅配サービス

みなさんは野菜をどこで手に入れていますか?お家で採れた余った野菜はどうしていますか?西粟倉村内では様々な野菜が作られていますが、村内での消費は少ないようです。

西粟倉村の野菜を西粟倉村内の人に届けるために、坂根地区で定期宅配便をされている「自然農園たね」の豊福千絵さん。農園で育てた野菜や、村内の農家さんの野菜を合わせて、宅配されています。

今回は、野菜を作られている農家さんの声と消費者である利用者さんの声、双方の想いを受け取りながら活動されている豊福さんからお話をお伺いしました。

豊福千絵さん

西粟倉の野菜

豊福さん(以下敬称略)「自然農園たね」として村内で野菜の定期宅配のサービスを始めたのは昨年の夏です。2年程前から日本全国、地方へ野菜の出荷を行っていましたが、野菜作りを始めとして、野菜に関わる仕事をするなかで、西粟倉村の野菜が西粟倉村内で消費されていないと感じたんです。村内のお母さんたちに話を聞くと、「野菜を買うのは週末に鳥取に出かけて買う。」、「生協さんで頼んで買う。」という声をよく聞いていました。もちろん、西粟倉の野菜はあわくらんどで買うことはできるけど、なかなか足を運ぶ機会はないという声もありました。

反対に、村内のおじいちゃん、おばあちゃんからは「野菜を作っているけれど販売する品質ではない」とか、「自分たちで消費しきれないくらい野菜ができた」という話や、農家さんから「西粟倉村内の人に届ける良い手立てがなかなかない。みんなにあげても残ってしまう。」という話を聞くこともあり、畑には、野菜が収穫されず、そのままになってしまっている光景もよく目にしていました。農薬を極力使わないようにして野菜作りをされているからこそ、出荷規格に適さない野菜も多くでてしまい、消費に困っていると言われる農家さんもいます。

同じ西粟倉村内でも、必要な人はネギ1本でも買いに出かけていて、逆に消費できないほど野菜が余っている人もいる、このあたりをうまく解決して、西粟倉村の野菜を西粟倉村内の人に届けることができればと思って宅配を始めました。基本的には野菜が収穫出来る時期に合わせて、月に2〜4回ペースで、農園の野菜と村内の農家さんから提供いただいた8〜10種類の野菜をお届けしています。

想いを一緒に届ける

豊福私自身、野菜作りを始める前は、野菜は種をまけばできると思っていました。でも実際、野菜作りは手間も時間もかかりかなり力仕事も多く、本当に大変ですが、長年続けられている西粟倉の農家さんたちは経験豊富な方ばかりなので、たくさんのことを教えてもらいながら野菜を育てています。

そんな中、直接宅配させていただくことで、届ける人の顔が見えると、種をまく段階から届ける人のことを思いながら、より気持ちを込めて野菜を育てることができるんです。きっとそれは、野菜を食べてくださる方も一緒で、育てた人の顔が見えるのと見えないのとでは受け取り方も違うと思います。野菜と一緒に育てた人の気持ちも届けられるように心がけています。野菜を宅配したときは、野菜を育てた農家さんの情報や美味しく食べてもらえるように調理方法も合わせてお伝えしています。写真を投稿できるアプリ「インスタグラム」には農家さんの写真や、野菜の他に、畑の様子も撮らせてもらい、こんなところで育った野菜なんだよっていうのも届けたいなと思い投稿しています。

小さい村だからこそ関わり合いを大事にして、野菜を通じて作る側と消費する側、野菜で繋がるすてきな輪が出来ればうれしいです。

野菜の価値

豊福利用してくださっている方からは、スーパーに売ってある野菜とは全然違うし、本当に美味しくてびっくりしたという声や野菜を作った農家さんのことを紹介している文章を読んで、余計大事に野菜を食べようと思ったという声をいただいています。他にも、届く野菜を見て、西粟倉でこんな種類の野菜が作られていたなんて知らなかったと驚かれたり、届いた野菜で、こんな料理を作りましたとレシピを教えていただいて、またそれをみんなに共有させていただいています。やはり地元の野菜を美味しく食べる上でそういう情報の共有も大事だなと思うんです。

しかしながら、宅配便を始めて、お届けできる件数を増やしたり、他にもやりたいと思うことがあっても、私一人でできることは限られてしまいます。仲間ができれば、アドバイスもいただけるし、他にも出来ることが増えると思っています。野菜作りに関しては、機械も使います。体力が必要な作業も多く、女性や高齢の方は大変な事もあります。若い人の力を借りることができる仕組みができればいいなと思います。

今後、野菜を求める上で「西粟倉の野菜」という選択肢が増え、そして、村内にもっと気軽に西粟倉で育った野菜を手に入れられる方法があればと考えています。関西に野菜を出荷するとなったら値段もぐっと抑えて、大量にださないといけない、でも、西粟倉の野菜ってもっと価値があると思うんです。農家さんたちが大切に、時間をかけて育てた野菜の価値をしっかり高めていきたいと思います。

作る人、届ける人、受け取る人それぞれの想いが野菜を通して繋がっていました。西粟倉の野菜の美味しさが村内のすみずみまで広がりますように。

広報にしあわくら3月号全文は以下でご覧ください。

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