地域おこし協力隊ってどうなっとん?(1) 〜広報にしあわくら 2024年11月号より〜

この記事の最後にPDF版のリンクをご紹介していますので、是非ご覧ください。

解説!村のあれって どうなっとん?

西粟倉の「今」を紐解く

今月のテーマ 地域おこし協力隊ってどうなっとん?(1)

はじめに

「地域おこし協力隊」という言葉を村内で一度は耳にしたことがあると思います。 みなさまの地区でも多くの協力隊員が活躍しています。表紙の写真は、4ページで紹介する村出身で協力隊員の内海千夏さんです。

今回の特集では、今回の号と12月号の2回に分けて地域おこし協力隊を取り上げ、そもそも協力隊制度とはなんなのか、そして隊員がどのような活動を行っているのか紹介します。

また、今後の広報とあわせて「地域おこし協力隊図鑑」が配布される予定です。こちらもご覧ください。

地域おこし協力隊ってなに?

「地域おこし協力隊制度」は、都市地域から過疎地域などに移住した人を「地域おこし協力隊員」として任命し、隊員は移住先で地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR事業などの地域おこし支援や農林水産業への従事、住民支援などさまざまな活動を行い、定住定着を図る国の制度となっています。

また、この制度は要件(都市部に在住で、村内に住民票がない人)さえ満たせばUターン(村出身者で、一度都心部などで仕事したあと、村に戻ってくること)でも活用できる制度となっています。

村に協力隊は何人いる?

村では総勢55名(11月時点)の協力隊員が活躍中です。この人数を他の自治体と比較すると、岡山県下で1位であり、全国では5位です。
(※出典 総務省「令和5年度地域おこし協力隊の隊員数等について」)

なんでこんなに協力隊が多い?

村内の協力隊制度は、「百年の森林事業」を推進するために2009年からスタートしました。2015年には「ローカルベンチャースクール」を主催し、制度を活用することでうまく地域の起業文化を醸成するなど、村内事業者の取り組みと行政の取り組みがうまく連携することになりました。

この背景もあり、この村で起業したいと目指す人の増加や「企業研修型地域おこし協力隊」の受け入れ事業者が増え、隊員の幅が広がり様々な隊員が生まれたことが、協力隊が増加した理由です。

そして、その中で魅力的な事業や人材の活躍により、新たな協力隊を呼ぶ好循環が生まれています。

協力隊の種類は?

村で活躍している協力隊は3つの種類に分かれます。

  1. 「企業研修型地域おこし協力隊」
    • 村内の事業者で研修を受けながら、新しい事業に取り組む隊員。任期終了後は受け入れ事業者での継続した雇用を想定しています。
  2. 「起業型地域おこし協力隊」
    • 村内の資源をいかした事業の立ち上げを目指し、任期終了後は村で事業の自立と継続を目指す隊員。
  3. 「行政連携型地域おこし協力隊」
    • 役場に在籍または、連携しながら地域の課題を解決する隊員。村内で、どのような活躍しているのか、次のページでは、協力隊員を紹介します。
地域の民間企業で研修しながら新しい事業に取り組む隊員

【名前】 山口 萌 菊池 豪
【事業名】 合同会社セリフ
【出身】 二人とも東京出身

菊池 豪    山口 萌

・なぜ西粟倉でチャレンジしようと思ったのですか

【山口さん】西粟倉は起業する人が多く、羽田さん(合同会社セリフ代表)の発信にも興味を持っていました。東京で都市農業を実践する農園に勤めていましたが、中山間地に生業としての農業の景色を残せないかということにも関心がありました。ちょうど転機のタイミングで、養鶏を中心に中山間地で強い農業をつくるという新事業をみて、決断しました。

【菊池さん】自分にとって意義のある事業を一から作り上げる実力を身に着けたいと考えていたところ、羽田さんが出されていた求人内容に関心を持ちました。羽田さんの養鶏事業が持つポテンシャルや事業構想に強く共感したこと、また、大学時代に1年間休学し鹿児島県の離島で生活をしていた経験があり、地方で働くことの面白さは実感があったため、移住してチャレンジ
することを決めました。

・どんな活動を行っていますか

これが、知社にある平飼いの養鶏場になります。

【菊池さん】私たちは平飼い養鶏事業を行う予定で、11月の頭から飼育開始するのでその準備をしています。そもそも我々は養鶏業自体に経験がないため、全国8ヶ所の養鶏場に学びに行きました。そこから得た知見をもとに、今は鶏舎の生活環境となる内装を色々な事業者の方に相談しながら決めたり、敷料に使う籾殻を設置する作業などを行っています。

【山口さん】鶏に必要な餌を栄養源別に素材を探し、近隣の農家や食品会社から未利用資源を購入したり譲って頂き、自家配合飼料の準備を進めてきました。村内では農家やエーゼロからくず米、ヒノキ醸造所からモルト粕を頂いています。
養鶏場の視察を重ねて、村内の土建屋さんや大工さんと一緒に私たちの養鶏場の条件に落とし込んできました。

・村の好きなところ

【菊池さん】まだ移住して3か月ほどですが、毎週末のイベントや、新規事業が次々と立ち上がっているのをひしひしと感じており、仕事や趣味を問わず、思いついたことを形にする方が多いところに刺激を受けています。

【山口さん】 面白い趣味や経験を持った人が多く、あわくら会館など村内で色々な学びの場があるのが嬉しいです。また、何かしら自然相手に仕事をする方が多いので、生き物や森に関する会話が日常的に聞こえるのが面白いと感じています。村の方々に色々教えてもらいたいです。

積まれているのが籾殻です。ニワトリの住処の床になります。
起業し地域の資源を活かした事業を行う隊員

【名前】 内海 千夏
【事業名】 Na-tu Beauty
【出身】 西粟倉村出身

・なぜ西粟倉でチャレンジしようと思ったのですか

今はネット注文などでどこに居てもある程度のものは手に入れられますが美容室は自らが足を運ばないといけません。鳥取や津山など遠くまで行っている人の話を聞き、街なら美容室が溢れるほどありますが、西粟倉や近隣には新しい美容室の店舗が少ないのでこのタイミングで自分で開業してみたいと思いつきました。最初は思いつきでしたが、いろいろ西粟倉のことを調べている内に地域おこし協力隊の制度を知り開業にはとても良い制度だと思いすぐに申し込みました。

・どんな活動を行っていますか

日々は通常の美容室として営業しています。お客様に飽きられないように新しい薬剤やメニューを取り入れています。また成人式やイベントなどでは着付けセットも承っています。Uターンしてきた時は知っている人が少なかったのですが、サロンを通じていろいろな方と繋がりが持てました。

・村の好きなところ

静かなところです。サロンで働いている時も鳥やカエルの鳴き声など自然の音しかなくて本当に落ち着きます。街に居た時はいつも何かの騒音がしていました(笑)

西粟倉に住んでいる方はみんないい人ばかりで変わった経歴の方もいてお話も面白いです。知り合いはみんな身内みたいな感覚でとても温かく何でも相談できます。

内海さんが子ども時代に広報にしあわくらに出ていただいている写真がありました。
成長して村の中で頑張っていただいていることは本当にうれしいですね。
行政と連携しながら地域の課題を解決する隊員

【名前】 鈴木 宙夢
【所属】 図書館
【出身】 千葉県

・なぜ西粟倉でチャレンジしようと思ったのですか

図書館や生涯学習施設を通じて、人が集まる場所づくりや、村民の「やってみたい」を後押しできる仕組みづくりに関わりたいと思ったからです。

・どんな活動を行っていますか

イベントの企画、会館の環境整備、図書の選書や展示企画を担当しています。直近では「むらみっけ!文化祭」の運営も行っています。カウンターで来館者と話しながら決めることも多いです。

・村の好きなところ

自分の「やってみたい」が叶いやすい環境で、挑戦を応援してくれる風土があります。村の人々が生きることを楽しんでいる姿がとても好きです。

元協力隊員の活躍について

村内に在住の山口祐史さんは元協力隊員で、現在協力隊員の須藤公基さんと共に、SANSAI inc.としてデザインのお仕事で活動されています。村からは広報誌のデザイン制作や撮影なども委託しています。今回、代表の山口さんに協力隊についてお聞きしました。

・なぜ西粟倉でチャレンジしようと思ったのですか

地域産材の木材を活用した家具制作の現場での、クリエイティブな仕事に興味があり村内メーカーへの就職がきっかけで移住しました。

・どんな活動を行っていますか

村内外の個人事業主さんや企業のブランディング、デザインのお仕事を担っています。具体的には会社のロゴ・パンフレット・webデザイン・映像撮影・写真撮影・コピーライティング・パッケージデザインなどのご依頼を受けています。

・村の好きなところ

なんとかして生業を作り、楽しんで生きていこうとしてる人が沢山いるところ

次回の特集は?

次回の広報にしあわくら12月号でも、協力隊の方々にインタビューを行い、活動のようすや村での生活について紹介する予定です。12月号もお楽しみにください。

広報にしあわくら11月号全文は以下でご覧ください。

広報にしあわくら2024

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