村の生物多様性ってどうなっとん? 〜広報にしあわくら 2025年8月号より〜

この記事の最後にPDF版のリンクをご紹介していますので、是非ご覧ください。

村の生物多様性ってどうなっとん?

はじめに

「生物多様性」という言葉をご存じでしょうか?村では、この生物多様性をテーマにさまざまな活動が行われています。しかし、「具体的にどのような取り組みをしているのか」「生物多様性とはなんなのか」については、漠然とした印象をお持ちの方が多いと思います。

今回の特集では、村で進められている生物多様性の活動について、その背景や目的とともに紹介します。

むらまる通信では、村内の生物データの収集を行っています。あわせてご覧ください。

なぜ生物多様性?

生物多様性とは、生き物たちの「個性」と「つながり」を表す言葉です。地球上には、さまざまな種類の動植物が存在し、それぞれが環境と関わり合いながら生きています。この多様性があることで、自然のバランスが保たれ、私たち人間の暮らしも支えられています。

なぜ今、「生物多様性」という言葉をよく耳にするのでしょうか?その背景には、地球規模で進む気候変動や森林の減少、環境汚染などによる「自然の危機」があります。

これら人間社会の基盤として必要不可欠なもので、最近ではネイチャーポジティブ「自然の損失を止め回復軌道にのせ、自然と共生する社会の実現する」国際的な目標も生まれ、行政・企業・地域で取り組みが進んでいます。

村としても「生物多様性」というテーマを掲げることで、国や民間企業の支援を受けて、さまざまな取り組みが行われることで、さらなる地域活性化を目指しています。

自然に囲まれた村だからこそ、こういった取り組みに積極的に取り組む必要があると考えています。

「ビオ田んぼプロジェクト」

人と自然が豊かになる田んぼを目指して︱

下土居で「ビオ田んぼプロジェクト」を取り組むエーゼロ・グループ株式会社の太刀川さんにうかがいました。

太刀川 晴之さん
「ビオ田んぼプロジェクト」ってなに?

田んぼから「美味しい」「楽しい」「嬉しい」をもっと引き出したい。田んぼの中にビオトーブ(地面を少し深く掘って、一年中水が溜まるよう)にしたエリア︶を取り入れ、さまざまな生きものや山菜を増やしながら米づくりを行い、子どもたちの遊び場や体験活動の場としても活用することで田んぼの価値を最大化するプロジェクトです。田んぼにビオトープを作ることで年間を通じて生きものたちが安定して暮らせる環境を作りながら稲作を行っています。

ビオ田んぼの写真
ビオ田んぼの目指す姿

村の里山や田んぼは農家の方々の日々の活動によって守られ、その環境が多くの生きものの生息場所にもなっていました。しかし、高齢化や生産コストの増加により、農地の維持が困難になってきています。自然豊かな村だからこそ、田んぼのもつ価値は「お米」だけではないと考えます。豊かな自然環境が、農業の価値を高め、さらに住民や様々な関係人口を巻き込みながら豊かな暮らしへとつながることを目指しています。

こんな生物が復活しました。

タガメを確認することができました。タガメは、絶滅危惧種に指定されている希少な生物です。ビオ田んぼの活動によって、餌となる生き物が増加し、また減農薬栽培が実施された結果、ビオ田んぼ周辺でのタガメの確認数が増加しています。

田んぼをもっと自由に面白くする「ビオ田んぼクラブ」に参加しませんか?

年間を通じて、田んぼでの様々な体験や米づくりにご家族で参加できます!メンバーになると秋にはたくさんの生きものと育てた特別栽培米と日本酒をお届け!

活動内容を紹介 環境負荷の少ない米作り

たい肥なども活用しながら、可能な限り農薬や除草剤、化学肥料を使わずに田植えから収穫まで行います。

生きもの調査(ガサガサ)や観察

メンバーになると水路や田んぼで思う存分、生きものを捕まえたり、遊ぶことができます!ビオ田んぼではビオトープに集まった生きものを通年、観察することが出来ます。

うなぎやドジョウが増える田んぼやビオトープづくり

大学の先生と共同で田んぼにウナギの稚魚︵シラスウナギ︶を放流する試験も行っています。田んぼは泥が厚く堆積し、浅く水温が高いので多くの生きものが発生するので河川に放流するよりも、田んぼに放流する方がウナギの初期生育にとってよいのではないかという仮説を検証しています。

ビオ田んぼに興味を持った方は?

こちらのページか担当の株式会社エーゼログループ太刀川まで、ご連絡をお待ちしています。

「オオサンショウウオをシンボルとした川の再生」

川ガキを未来へ

なぜ村でオオサンショウウオ?

オオサンショウウオは昔から自然豊かな村の象徴とされてきました。しかし、川の環境が変化したことでその数は減少し、見つけた個体も痩せ細っている状況です。

オオサンショウウオは、村の川の生態系における頂点の存在であり、その生息環境を守ることは、川全体の生態系の維持に直結します。オオサンショウウオが生きやすい環境とは、餌となる小魚やカニ、昆虫などが豊富に生息することで初めて実現するものです。

再生のシンボルとしてオオサンショウウオを守ることは、川の再生と活性化につながります。

さまざまな取り組みが行われています!

オオサンショウウオが階段を登る!?

オオサンショウウオは川の上流へ移動し、そこで産卵を行います。しかし現在、河道の直線化やコンクリート化などの治水対策によって、オオサンショウウオを含む生物が川を上ることが困難な環境となっています。そこで、落差のある堰︵せき︶の1つに階段を設置した結果、なんと一晩で4匹のオオサンショウウオがその階段を利用して上流に登ることが確認されました。今後は、オオサンショウウオに限らず、さまざまな魚類なども上流へ移動できるような階段の設置を計画しています。

産卵環境と幼生の調査

昨年度の冬に幼生の調査を実施しました。その結果、階段を設置した川の上流域で幼生の存在が確認され、繁殖活動が行われている巣穴が少なくとも1つは存在することわかりました。しかし、オオサンショウウオの生息地に対して、産卵に適した環境が十分ではないことが分かり、今後は人工的な産卵巣穴を設置する予定です。

村のオオサンショウウオについて

村内いるオオサンショウウオは、貴重な「純血種」の可能性が高いこともわかりました。全国的に中国産との交雑が進む中、西粟倉村は日本固有種の保全地として大きな価値を持っています。

目指す姿について 川ガキを未来に

かつての村の川には、たくさんの魚が泳ぎ、川遊びを楽しむ子どもたちの姿がありました。しかし、気がつくと魚の数は減少し、川で遊ぶ子どもたちの姿も少なくなってしまいました。長い間、村の川の象徴として存在してきたオオサンショウウオをシンボルとし、暮らし続けられる川の環境を整えることで、豊かな魚が戻り、子どもたちが笑顔で遊ぶ川を取り戻します。

プロジェクトに興味をもった方は?

こちらのサイトをご確認ください。

広報にしあわくら8月号全文は以下でご覧ください。

広報にしあわくら2025