目次
あわくら会館完成
SDGs未来都市にしあわくら
にしあわくらっ子
あわくら会館(イベント等)
社協だより
あわくら会館完成
みんなの想いをひとつに。村民の方のやりたいこと、こんな場所があったらいいな、が形になったあわくら会館が6月7日、ついに完全オープンしました。
2012年から始まった約9年間にもわたる西粟倉村史上でも数少ない大がかりなプロジェクト。百年の森林構想を謳う西粟倉村ならではの木材をふんだんにつかった大型木造施設。そんな西粟倉の象徴となるこの施設の設計、建築に当初から責任者として携わってこられた、西粟倉村役場総務企画課長榎原博文と、設計士株式会社アルセッド建築研究所小口亮さんに、あわくら会館への想い、こだわりをお聞きしました。
会館づくりチームが大切にしてきた気持ち
村民の方をはじめ、多くの方の人の意見の取り入れを行ったと聞きました。
(榎原) そうですね。ワークショップをしたり村民アンケートをやったりして、みなさんの意見をいただいてきましたね。できるだけ多くの人からやりたいこと、こんな場所があるとよい、を聞く機会を設けました。
違う立場の想いだとか、どのような意見がありました?
(榎原)やっぱり賛否いろいろあって、せっかく百年の森林の村なので木をしっかり使ったものをやりなさいとか、今役場の中が保健福祉部門と総務・産業部門で庁舎が分かれているのが非常に不便なのでなんとかして欲しいとか、やるならいいものを作って象徴的なものにして欲しいとか、そういういろいろな意見がありました。不安もありましたが、やると決めたらやろうという気持ちでした。
あわくら会館の設計にあたり最初の印象は?
小口さん(以下小口) 設計者募集の企画段階から「学び、発表の場、役場庁舎利用」という名前が付いていて、その名前の付け方から中身についてしっかり考えているなと。ただ単に図書館、役場ではなくて、そのころからひとつの場所で何かをやるんだというイメージが考えられているなと思いました。いい企画だからちょっと頑張ってやってみるかっていうのが最初のアプローチでした。
全体でひとつのあわくら会館
あわくら会館のコンセプトは?
(小口)住民のみなさんから伺った話からでてきています。住民ワークショップの中で「あつまる、つながる、やってみる」が理想像としてでてきました。色々なやりたいことを全部自由にやれる場所はどういう場所かを考え、「村の人が何でも自由に出来る場所」というコンセプトをたてました。また、何でも自由にできる場所として考えたとき、役場と図書館の併設ではなくて全体でひとつのあわくら会館とするほうがよいと考え、「あわくら会館の中に、図書館も役場もあれもこれもある」という2つ目のコンセプトをたてました。
苦労・こだわり
村内の事業者に協力していただいてひとつの空間に入れていく中で課題はありましたか?
(榎原)備品はあらかじめ、家具設置の中心になる(株)ようびさんや、(株)木の里工房木薫さんと一緒にその空間に合うのってどんなものか考えたり、備品自体を試行的に作ったりして試したりしました。その中でなんとなくそれぞれ得意なところが出てきて、また工房さんや他の村内業者さんが入ってきたりみたいな感じですね。
構造ひとつをとってもこだわりを持って創られてますよね。
(小口)天井は垂直な材で作ることもできますが、それだと空間の形がかしこまってしまう感じがして。ワークショップからでも村民の方からいろいろなやりたいことがたくさん出てきていて、本当に自由な発想で。それはたぶん村民の方の活動もそうだし、役場の方の活動もそうで。そうなると書院造りみたいなかしこまった場所ではないなと。図書館の百森ひろばの天井の張弦梁と同じような造りを執務室にも持ってくることで、全体でひとつのあわくら会館というのを見せようと思いました。
あわくらホールのこだわり
(榎原)この上の絵は僕たち2人で釜入れを手伝いました。
(小口)難しいんですよ。まんべんなく焼けるように釜入れするの。と説明してくださったのは、大茅地区若杉釜(大茅宮崎薫さん焼き上げ)を使って創られた焼き絵。西粟倉の風景をイメージして創られたもので、反対側には雪景色バージョンの村の風景が飾られています。
天井にも秘密が
(小口)実は飾りではなくて屋根を支える構造体なんです。間伐材で出てくるような細かい材をウェーブ型に一体化することで1本の梁にしています。
木と鉄の融合
(小口)この手すりの木は栗の木ですが、「工房 kodama」のリファさんが村の方からもらってきた木で。この鉄が村の川みたいだねって言われていて、山(木)の真ん中に川(鉄)があるような。ここだけは人の手の触れるところに鉄があって雰囲気が入っていくときに変わる、刺激があって入っていくので、そこで切り替わるようなイメージです。
既にオープンしている図書館、百森ひろば側のこだわりもいくつか教えていただきました。
あえて作った吹き抜け
(小口)床にしてしまえばそれだけものがおけるスペースが増えるし、図書館はきちんと遮音して子どもの声を聞こえなくするのが割と一般的なんです。しかし、ここでは議論していくなかで、一階に管理する人もいない時間もあるかもしれないから下の空気を上にいても感じられるようにしたい、上にいても下で何をやっているかなんとなくわかるようにしたい。もし下で子どもが騒ぐようなことがあったら大人が注意しても良い、そういう話がでたんです。
ひかりが差し込む百森ひろば
格子状の木の間から差し込む外からの光が、神秘的にも魅せるこの構造にもこだわりが詰め込まれていました。
(小口)格子状の創りは飾りではなく、地震のとき、力を支える重大な役割があります。格子があるおかげで明るくしつつも力を支えられている。これは、この西粟倉の建物のために開発した構造です。
自然エネルギーを生かした空調
夏は井戸水、冬は地域熱供給施設からの温水を利用した自然エネルギーを生かした空調設備が備わっているあわくら会館。通常、エアコンの吹き出し口は上にあることがほとんどですが、空気の流れがとても速いので、暖房だと上のほうが暖かく、下は冷えてしまいます。冷房も、空気が動いてしまって全体がうまく冷えません。この仕組みを解決するため、天井が高いところでは床から極力ゆっくりしたはやさの空気をだしてあげると暖房もすぐに上にいかずに下に留まってくれる、と床に取り付けられている吹き出し口について教えてくださいました。上部のカバーを外して中のフィルターを少し回せば、風量の調整も可能という便利さも。
まとめ
あわくら会館の建設にあたり色々な思い出やエピソードを話し出すときりが無さそうなお二人。その様子はとても楽しそうで、自分たちが育ててきたものを、みなさんに見て、触れて、感じ取ってもらいたい。その想いがひしひしと伝わってくるひとときでした。図書館も、役場も、みんなが何かやってみたいが出来る場所がひとつになったあわくら会館が、みなさんの「生きるを楽しむ」に繋がっていくことを願っています。
あわくら会館オープンに伴って今月より広報にしあわくらをリニューアルしました。今後、村民のみなさまとより近い距離での広報活動を行えるよう努力していきますので、ご協力、ご鞭撻よろしくお願いいたします。
西粟倉村 広報係
広報にしあわくら6月号全文は以下でご覧ください。
PDFデータでご覧になる場合は下記リンクをご覧ください。広報にしあわくら2021