めげない情熱のオレンジ、ヤブカンゾウ

ユリ科の多年草で、田んぼの畦や道端に咲き、この時期目立ちます。花びらが重なり合って咲く「八重咲き」はヤブカンゾウ、花びらが重なり合わずに咲く「一重咲き」はノカンゾウと言いますが、両種は分類学的にもほとんど同じ種です。

有史以前に中国から渡来した花で、薬草として寺院に植えられたのが全国に広がったと言われています。

「カンゾウ」を漢字では「萱草」。同じ漢字で「ワスレグサ」とも読みます。忘れ草の由来は、この花を身近に置いたり、身に着けたりすると、花の美しさから、心にかかる憂いや悩みを忘れさせてくれるといういわれにあり、恋に悩む歌人に好まれ、万葉集でも多くの歌が詠まれました。

また、こんなに立派な花なのに、花の命は短く、朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう一日花です。このことが「忘れ草」の由来とも言われ、英語ではDaylilyと言います。

春の新芽は美味しい山菜としても知られ、地上から伸びた若葉の頃、白い茎をつけて切り取り、茹でて水に晒し絞った後、酢味噌や辛子和えにしたり、天ぷらやおひたしにもできます。

また、中国では、花の蕾も食用とされ、乾燥させて保存食とするようです。花の蕾の乾燥品は、「金針菜」、「黄花菜」と言われ、水で戻して、スープの具にすることが多いようです。

田んぼの稲が黄緑一色の頃、畦に咲くこのオレンジはとても目立ちます。

新芽取られたり、畦で踏まれたり、草刈りされたり、いろいろされてるのに生き残り、どこからか生えてきて、こんな目立つ花を咲かせる、このしぶとさが好きです^^

まさに、めげない情熱のオレンジ。夏ですね〜。