はじめに
岡山県西粟倉村は、岡山県の北東端に位置し、村の面積の90%以上が森林の、いわゆる中山間地で、1300人ほどの人が暮らしています。
そんな村ではこれまで、百年の森林事業という、一番の資源である森林を活かした良質な森づくりのための取り組みを推進してきました。
その一方で、本来、山と一体であるはずの河川や水田などの水辺環境も大切なことがわかっているのに、その変化に気づきながら、見て見ぬふりをして私たちは過ごしてきました。
気が付くと、川をのぞくと見えていた魚の姿がすっかりなくなり、それと共に川遊びをする子供もすっかり見なくなりました。
川ではしゃぐ子どもたち(川ガキ)20年ほど前の写真
ほんの20年ほど前までは、幼少期に川遊びをして魚を採ったり、オオサンショウウオを見つけてギョっと驚いたりしながら成長していくのが村の子供達で、川ではしゃぐ子供達(川ガキ)は、村の大切な風景でもありました。
川を泳ぐオオサンショウウオ
オオサンショウウオと共に、川ガキそのものが絶滅危惧種になっていると思います。
昨年の夏、水中メガネをつけて川に潜りながら河川の生物調査をしましたが、オオサンショウウオの数そのものが減っており、やっと見つけたオオサンショウウオは、痩せこけていました。
食べ物である小魚やカニ、エビ、水生昆虫などが少ないからと思われます。
魚が減った川で痩せこけたオオサンショウウオ
岡山三大河川の1つである吉井川源流部にある西粟倉村から、豊かな水辺を再生し、その様子を発信することは、流域全体や瀬戸内海の人々に影響を与え、その地域の自然環境を守り、子供を育てることにもつながると思います。
支援が必要な理由(実現したいこと)
村の川に、昔から主のように暮らしてきたオオサンショウウオをシンボルとし、彼らがこれからも元気に暮らしていけるように河川環境(物理的、化学的、生物的)を改善することで、魚が溢れる川を取り戻し、川ガキが溢れる川にしたいです。
オオサンショウウオやエビカニ類などは、川を上下流に行き来しながら繁殖するので、川の連続性を確保する必要があります。
また、オオサンショウウオが産卵したり、ウナギや他の生き物の隠れ家となる横穴や、小魚が産卵したり、稚魚やオオサンショウウオの幼生が生息でき、子供たち(川ガキ)が育つ水の流れが緩やかな場所を創出しなければいけません。
更にこれらの物理的環境改善に加えて、農業における低農薬化(化学的)や、カワウ・外来魚の侵入・繁殖による河川生態系への影響(生物的)を改善しなければなりません。
ガサガサで魚を見つけ、魚の話で盛り上がる西粟倉村村長(左)と白籏さん(中央)
村長は言います。「魚のいない川なんて、なんの意味もない。」と。
また、子供たちが初めて生き物と触れ合う田んぼも、魚の稚魚などの豊かな生物のゆりかごとして重要です。川〜水路〜田んぼへの連続性を確保し、水域全体で人を含めてたくさんの生き物が暮らしていけるようにする必要があります。
村内では、田んぼ毎にビオトープをつくることで田んぼに暮らす生き物と共生しながら米づくりを行う「ビオ田んぼプロジェクト」も進行中です。河川〜ビオ田んぼまで連動して、豊かな自然と子供の楽園を作りたいです!
ビオ田んぼで泥んこになりながら生き物と戯れる子供たち
プロジェクト資金の使い道
いただいたご寄付は、多様な生物が健やかに生息できる河川環境を復活させるため、下記の使途に使用させていただきます。
- 堰の改修(目的:オオサンショウウウオやウナギが行き来できるように)
- 自動撮影カメラの設置(目的:オオサンショウウオが登れるようになってるかどうかの検証)
- オオサンショウウオの巣穴の造成(目的:オオサンショウウオが産卵し、命を繋いでいけるように)
- 魚介類の生息環境・産卵環境の造成(目的:魚やエビ・カニが増えるように)
- 親水エリアの造成(目的:川ガキが増えるように)
- 川〜用水路〜水田への連続性の確保(目的:川を登ってきた魚が水田に入り、田んぼをゆりかごとして稚魚がたくさん育つように)
※目標額に達しなかった場合や目標額を超えて達成した場合でも、いただいたご寄付を本プロジェクトに活用させていただきます。
ご協力・ご支援のお願い
村長、白籏さんをはじめ、川や魚、自然や生き物、子供の大好きなメンバーでこのプロジェクトに挑みます!
オオサンショウウオの登れない堰の上にて。まずはこの堰をオオサンショウウオが登れるように!!(中央に西粟倉村村長、左下に白籏さん。)
川でオオサンショウウオと共に川ガキが育ち、それを大人が見守る村。そんな未来を創っていきたいです。そして私たちの取り組みが、他の地域のモデルにもなり、人と自然が共に生きる豊かな地域を次世代に残していければと思います。