百年の森林事業のこれまでとこれから 〜広報にしあわくら 2026年7月号より〜

この記事の最後にPDF版のリンクをご紹介していますので、是非ご覧ください。

今月のテーマ 百年の森林事業のこれまでとこれから

はじめに

7月号は村の主要事業でもある「百年の森林事業」の振り返りとこれからの展望についてご紹介します。また、記事の後半では事業を支える現場の方の声をお届けします。

「百年の森林事業」のこれまでを振り返って

「百年の森林事業」は50年生にもなるスギやヒノキを、あと50年かけて森林を再生し、産業や仕事を生み出していこうというコンセプトから生まれた事業です。

2008年着想、2009年から事業実施した「百年の森林事業」ですが、移住施策や災害対策など村の事業へ大きな影響を与える事業となっています。

「百年の森林事業」の成果

「百年の森林事業」を起点に村では「ローカルベンチャー事業」や「地域おこし協力隊事業」が始まりました。その結果、村内では新たに約70の事業者が生まれ、230人以上の雇用が生まれました。「百年の森林構想」着想から累計408人(令和7年度末時点)のIターン者が村へ移住しています。近年、全国で少子化問題が話題となっていますが、園児、児童、生徒の人数は「百年の森林構想」着想時139人から令和7年度136人とあまり減少していません。

「百年の森林事業」のこれまでとこれからの取り組み

村長コメント

「百年の森林事業」は、森林を単なる資源としてではなく、村の未来を支える財産として捉え、植える・育てる・使うという循環を地域の力で築いてきました。森林所有者、事業者、住民のみなさまの協力により、木材活用や雇用創出、移住定住の促進など、多くの成果を生み出してきたことは大きな誇りです。

これからは、森林の価値をさらに高め、脱炭素や生物多様性、観光や教育など新たな分野とも結び付けながら、次の百年へとつながる挑戦を続けていきます。豊かな森を未来の子どもたちへ引き継ぐことこそ、私たちの責任であり希望です。

現場を支えるみなさんの声

現在、「百年の森林事業」を現場で支える西粟倉百年の森林協同組合理事長の青木昭浩さんと西粟倉村出身で現在は清勝で働かれている金田暁虎さんにこれまでの「百年の森林事業」についてや今後の展望などについてインタビューを行いました。

【「百年の森林事業」の立ち上げ当初を振り返ってみて、当時はどのような印象を受けましたか?また、特に苦労したことは?】

青木さん
当時は森林組合の下請けという立場でやらせていただいていて、事業自体の本質的な部分もよく知らないような状況の中でやっていました。なので、この事業は継続できるのかなというのが1番の印象で不安でしかなかったです。

山を大切に育てて、それを通して村の仕事や人口を増やしていくのが事業の本質的な部分です。木を売ってただお金を儲けることが目的ではないことを村民の方に理解してもらうのが大変で、自分たちがしていることと期待されることのギャップがあったりして苦労しました。

【現在みなさんの事業は「百年の森林事業」のどの部分を担っていますか?】

青木さん
現在、協同組合は12事業者加盟していただいて、事業者を1つにまとめることが我々の役割ですね。業者さんとのつながりっていうのはすごく大事だと感じています。具体的には、「こういう製品を作りたいから、こういう木が欲しい」という注文をいただくことがあって、たとえば杉やヒノキ、あとは太さの指定で「末口が50センチのものが欲しい」とか「30センチまでのものがいい」といった形ですね。もちろん、「百年の森林事業」は良い木を残す定性間伐をしているので応えられない場合もあるんですが、そういった注文材に合わせた木を供給することで、施業を通して製材業者さんなど西粟倉全体の連携を深められるので、そういうつながりを大切にしていきたいなと思っています。

金田さん
清勝の事業の中でも僕がメインでやらせてもらっていることはチェーンソーで悪い木を切って、いい山をつくることです。誰がみてもきれいな山だと思ってもらえるように頑張っています。

左:(西粟倉百年の森林協同組合 理事長 青木 昭浩さん)  右:(清勝 金田 暁虎さん)
【今後「百年の森林事業」に対してどのように取り組んでいきたいと思っていますか?】

青木さん
村はもちろん、日本全体で減少している林業の担い手を増やすことを目指していきたいですね。「百年の森林事業」を通じて林業の魅力を伝え、未来の担い手を育てることを目標に掲げています。その取り組みの1つとして、百森まつりというイベントを開催し、実際の林業現場で使われる重機の展示や体験を通じて、来場者にリアルな林業の魅力を感じてもらっています。特に子どもたちが林業に関心を持ち、将来この仕事に携わりたいと思えるようなきっかけづくりになってほしいと思っています。

金田さん
これからも山をもっと綺麗にしていきたいと思っています。山を綺麗にしていく取り組みを続けていけば、他の人たちにも「自分たちも山を綺麗にしたい」と思ってもらえるきっかけになると思います。また、綺麗になった山を見ることで、関わる人たちの間に『自分たちもこの山を守りたい』という意識が生まれていくのではないかと考えています。こうしたポジティブな循環が百森事業全体に良い影響を与え、さらに広がっていけばうれしいです。

【これからの「百年の森林事業」に対してどのような期待をお持ちですか?またそれは村民にとってどんな良い未来が待っていると思いますか?】

青木さん
この事業が続いていってほしいですね。「百年の森林事業」の取り組みにより移住者が増え、地域には子どもの声が響きます。その結果、村の消防団や地域行事が途切れることなく受け継がれ、西粟倉の生活や文化が守られることで、村民にとって活気あふれる未来が広がると信じています。

金田さん
木を通じて西粟倉の知名度が広がり、全国にその名前が知られることで移住者が増えたり、地元を離れた友人や若者が戻る動きが生まれることを期待しています。そうした流れが地域の維持や活性化につながり人々の交流が活発になることで、村全体がより豊かで元気な場所になると考えています。

広報にしあわくら2026