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目次
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特集 進化する山
ー 進化する山 ー
「村自体に価値がある西粟倉の山は、他とは違う特別な山。山も風景も見た目には変わりないけれど、西粟倉村とこの山の価値はここ10年を見るとすごい変化だと思う。これは変化というよりも進化だとも思う。」と熱い想いを語ってくださったのは青木昭治さん。西粟倉で育ち、昔は山が絶好の遊び場だったと言われます。現在は自身で村内に株式会社青林を立ち上げ、また百年の森林組合の理事長を務められています。「林業」のみならず、「チーム西粟倉」として何ができるのか常に考え続けられているその原動力や西粟倉に対する想いをお聞きしました。
180度変わった 村への価値観
学生時代は、村出身ということがコンプレックスだったという青木さん。しかし、今では外からも、ご自身の中でも西粟倉村へのイメージは大きく変わっていきました。
青木さん(以下敬称略)
昔と比べて今は、西粟倉へのイメージは180度変わりましたね。地方も目を向けられている時代でもありますし、外部とも繋がりのある仕事をしているので分かりますが、本当に東京で西粟倉って言っても通じます。それだけ西粟倉がすごい村になったということですよ。十数年間のベンチャー企業の皆さんの努力もあると思いますし、知名度もあがりました。「村」をいうことが誇りに変わってきましたね。今までのことは無駄ではない、結果はついてきていると実感します。西粟倉の人工林をどうするかというところから百年の森林事業が生まれ、3年前には共同組合を立ち上げました。足並みを揃えるのに苦労したこともありますが、自分の中では発展途上で満足はできていない、まだまだやります。
これからは持続させるのが課題だと思います。現状のままではいけない危機感を持ちながらチャレンジし続けないといけないと思っています。
「西粟倉村の木」を
青木 木にどれだけの価値が付けられるのかというのは本当に考えました。西粟倉の木はどこにでもある木なんです。ましてや整備事業で出したものだから合板材が6割から7割を占めます。そこでたどり着いたのが、「木」自体に価値を求めるのではなく、「西粟倉」ということに価値を見いだすことです。西粟倉のストーリーが生まれれば「西粟倉の木」が欲しいという人が現れる、「西粟倉」というブランドを作りあげていくことが重要だと気づきました。そこには西粟倉村の人々がどれだけ活き活きしているか、その暮らし方までもが村の価値に繋がっていくと思っています。
そして製品にできるという仕組みも大事だと思います。協同組合は川上から川下まで木材を製品にして価値をつけていくということが出来ています。我々が出した材が国内のみならず海外へ渡っていっていることは誇りに思いますし、山の所有者の方にも自分の木がどうなっているのか分ってほしい、そのために土場では丸太にIDを付け、どの山から切り出したのかがわからなくならないように作業を進めています。利益は所有者の方へ半分お返しするわけですし、気をつけているところです。
山を引き継いでいく子ども達へ
青木 西粟倉の森林や山を子ども達に引き継いでいくのは協同組合としての目的でもあります。よく言っているのは子ども達に将来の夢を聞いたときに、林業をやりたい、自分で会社を立ち上げて「フォレスター」になるって言うような子ども達を育てたいと言うことですね。
「フォレスター」ってなかなかでてこない単語ではあるけど、西粟倉なら可能だと思っています。今は林業をする人のことを木こりとか山もりとかって言う時代じゃない、「フォレスター」なんです。「例えば、小さい頃から山を綺麗にする理由を伝えて、西粟倉の百年の森林事業を理解してもらう、もう少し大きくなったら林業機械に触ってもらうとか、そういう風に関心を持ってもらいたい。こういったことができるのも西粟倉ならではですよね。なかなか皆さんの目の届くところでは作業できませんが、最先端の林業機械を扱って作業をしているところを子ども達に見せてやりたいんです。実際に機械を見てもらうイベントを開催する時には、原木を持ってきてどうやって使うのか実演します。そのときの子ども達の目の輝きはすごいですよ。こうして子どものためにと目線が向けられるようになったものが自分が実際に父親という立場になったからですね。「山で木を切りたい!」って言って欲しいですし、本物を見ていくことでまた何か変わるかもしれないと思っています。
持続可能な森林を目指す
百年の森林事業をいう先代からの山を守り、保つためにの活動と併走して、今では未来の山を保育する人材が必要とされています。
青木 僕の役割はみんなをまとめることだと思っています。それぞれが特化した部分があって、それぞれに役割分担がある。それを上手くまとめて歯車を回していけば協同組合はもっと大きくなると思いますし、100人が同じ方向を向かなくていい、その中に賛成してくださる人がいれば迷わずやっていきたいです。「西粟倉のために」というフラッグを揚げてみんなが同じ想いで足並みを揃えていければと思っています。その中で持続可能な林業を目指しています。木を切るだけじゃなく、山を再生する。持続可能とはそういうことだと思うんです。現在村内で造林部隊があるのはうちだけで、針葉樹だけでなく広葉樹も植林し、森の多様化を図っています。しかし肉体的にしんどいし、あえてそこをやっていくという方がおられないのが現状です。それでも会社としても担い手を探して後継者として育てたいと思っています。村内業者で木は切るけど、木の保育は他所からきてもらってというのは違うと思うので。そのために今考えているのは、西粟倉がトップで走り続ける要因に、木を保育することをあてはめると何ができるかということです。例えば、ドローンを使って苗木を運ぶとか、より効率よく作業ができる方法はないかということですね。
考えると課題だらけではありますが、我々の子、孫まで山で生業として仕事がやっていけるように、西粟倉村発信で林業を見直していきたいと思っています。
広報にしあわくら5月号全文は以下でご覧ください。
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