挑戦を、本気で楽しみたい起業家の卵募集! 西粟倉ローカルベンチャースクール2021とは (後編~村の先輩起業家に聞く起業までのリアルな日々~)

今年で6年目となる西粟倉ローカルベンチャースクール(以下:LVS)。
現在、来年春からの参加者募集を行っており、前後編に渡りLVSに込めた想いとプログラム内容を記事にてお伝えしています。
前編では、プログラム企画運営者の想いとプログラム内容について伝えてきました。(前編はコチラ

後編ではLVSのOBOGでもあり、村の先輩起業家の渋谷カバン渋谷肇さんと、おさじの桝岡桃子さんも交えて村での起業のリアルな姿を届けます。

LVSのOBOGであり、村の先輩起業家に聞くリアルな日々

-それではLVSのOBOGの渋谷カバンの渋谷肇さんと、おさじの桝岡桃子さんにも登場いただきます。よろしくお願いします!
お二人の過ごした日々から村の起業のリアルが見えてくると思いますので是非色々と聞かせてください。
まず、事業の伴走支援をしていたエーゼロ株式会社の高橋さんと大井さんからお二人の紹介お願いします。

高橋さん(以下敬称略)はい。いつも“しぶしぶ”と呼んでいるので今日もそう呼ばせてもらいます。笑
しぶしぶは「渋谷カバン」を立ち上げ、革を使った小物雑貨を作られている作家さん。
マイペースで、私の読めないスピード感で動かれていく起業家さんです。
最初は寡黙な職人で、一人で事業をしたいタイプかなと思っていたのですが、気がつけば色んな人がしぶしぶの工房兼自宅シェアハウスに出入りをして、事業に関わる関係者が増えていたり、多くの人との関係性が広がり、それが事業を進める力になっているような気がします。

(エーゼロ株式会社 ローカルベンチャー支援室 高橋江利佳さん)

大井さん(以下敬称略)) 僕もいつも“桃子さん”と呼ばせてもらっているので、今日もそうさせてもらいますね。
桃子さんは今、「おさじ」を立ち上げて、おやつやスープを製造販売されています。
初めてフィールドワークでお会いした当時からエネルギッシュで、どこからその力が湧いているのかと思う人でした。
村に来られてからも、多くの人に会われたり、試作を繰り返しているところは益々エネルギッシュだと感じています。(ここで大井さんは別件が有り退出されました。)

(エーゼロ株式会社 ローカルベンチャー支援室 大井健史さん)

-ありがとうございます、それではお二人から起業に向けての日々を振り返って聞かせてください。
渋谷さん(以下敬称略))今は村に来て3年目です。
1年目、もともと自分が鹿革で作品を作りたくて来ていたので、鹿革を手に入れる為に猟友会の会長さんや色んな人の話を聞いていきました。
でも、話を聞くと意外に鹿革が獲れないことを知り一旦鹿革確保は保留にして、鹿革が集まった時にどこに加工をしてもらうかの工場探しを進めていました。そして工場を見つけて、鹿革を外から取り寄せて商品づくりをしていたらすぐ審査会が来ました。
あっという間でしたね。

僕の時は、審査が今と違う書類審査、一次審査、最終審査という仕組みでしたが、書類も一次もギリギリ通過でした。
一次審査では色々と「この半年何をやっていたんだ」とか「本当に鹿革やりたいのか?」と強く言われて、もう一人でやろうかなと思ったほどでした。

(一次選考会での渋谷さん)

そうした時に当時のメンターの花屋さんから色々とアドバイスを言ってもらって、そこからはモヤモヤしているのが晴れて「これをやればいいのだ」とわかって進めました。

-メンターの花屋さんの言葉はどういったものだったのですか?
渋谷)「どんどん当たっていく、みんなはその動きを見たい。頭の中で考えているのではなくて体を動かしてダメならいいけど、考えているだけなら誰もわからない」でした。

高橋)私はしぶしぶの1年目の担当コーディネーターとして伴走していたので近くでしぶしぶのことを見ていましたが、花屋さんの言葉からスイッチが入ってからは早かったです。最終審査には、自分で作った鹿革の商品が出来て。
しぶしぶの可能性を見せてもらったことが印象的な審査会の期間でした。

(最終選考会の様子)

―コーディネーターの高橋さんとはどんな存在でしたか?
渋谷)最初からよく話は聞いてもらっていたし、プライベートでも話すことも増えていって関係性を築かせてもらいました。
それまで自分がプレゼンはあまりやってこなかったので、プレゼン資料を客観的にちゃんと言ってくれてすごく助かりました。

-ありがとうございます。では桝岡さんのお話も聞かせてください。
桝岡さん(以下敬称略))私は、娘二人と夫の4人家族で8月に引っ越して来ました。
引っ越してきてからはまず娘たちの学校を落ち着かせることと並行して、現地を見ながら、村の人たちと会って話す日々でした。
当時は他のLVSメンバーよりプログラムに入るのも、村に引っ越すタイミングも遅れを取っていることもあって、焦って苦しくなっていましたね。

事業として最初描いていたのは、農業を中心とした場を作り、都心のお母さんたちを迎えてに元気になってもらいたいというものでした。
ですが、農業は短期間で見せるのは難しく悩んでいました。
そんな中、すぐ9月の事業ブラッシュアップを受ける機会が来ました。
この時はまだ事業内容も定まっていない中でのブラッシュアップで、すごくプレッシャーでしたが、とにかく実現したい将来像「都心に住む子育て中のお母さんと赤ちゃんが、ほっとできる場所を自然の中につくりたい」ということを伝えました。
でも伝わらないこともわかり‥。
ショックでしたが、それならばと、まず自分一人でも出来る事を絞り込んでやろうと発想の転換をしました。
描くものはどうしても大きくなりがちで、あれもこれもしたいとなりますが、そこを絞っていくと「やれること」が見えてきたので、ただそれをしっかりやっていきました。

将来的には畑もしていきたいので、家の隣にある畑で化成肥料や農薬を使わない自然栽培の試験栽培もすぐ始めました。
少量でしたが、さつまいもを育てて、それをスープという形で表せたのが11月です。
そこからは何を作って、何を販売するか、何を審査会でもプレゼンしようかが見えてきたのでそこにひたすら突っ走りました。

高橋)桃子さんが地域に拠点を移そうとされたきっかけの1つは、家族の暮らしを大事にしたいことでした。それは大切にしてほしいと思いつつ、審査会までの期間が短かったことに私も焦ってしまったところがありましたね‥。
桃子さんはもう少し待って欲しいという気持ちがあったのだろうと思います。

11月にはまずやるべきこと、その先の道筋が見えた瞬間からの動きはすごく早かったことは覚えています。
村内の方に試飲を100食以上してもらいアンケートを取ったり、村内の子育て支援施設での試験販売を行われたり。
事業が見えてくることによって、桃子さんも楽しみながら進めていたことが印象的でした。

(村内の施設での試験販売)

-お二人とも仮説検証にどんどんとチャレンジされたんですね。
その行動はご自身の資質も大いに影響していることだとも思いますが、村だから出来たことがあれば教えて欲しいです。いかがでしょうか?

桝岡)他の田舎で暮らしたことはないのですが、西粟倉は新しい人やコトを受け入れ、応援してくれる場所だと思いました。移住前にインターネットで一般的な田舎暮らしのネガティブニュースを見ていたのですが、西粟倉では地元の皆さんが本当に親身になってくださったことが印象的です。

渋谷)自分は同世代の人が多いので、お互いブラッシュアップ刺激しあえるのはとてもいいことと思っています。
一緒に同じ事業をやってもいいなと思うし、助けられたりもするし、こちらが仕事をお願い出来たりもする。

高橋)しぶしぶの住んでいるシェアハウスでは、こんな事業をしたいとか、一緒にやろうとか話しているのだろうなと思います。とても楽しそうです。

渋谷)くだらない話もいっぱいしてますよ。笑

-LVS先輩のお二人から、LVSに参加したらこう過ごすといいよ、ということがあれば教えて下さい。
桝岡)LVSの期間中は役場の方をはじめたくさんの方から色んな意見をいただくので、柔軟に受け入れながらも自分で選んで決めて進むことができればいいですね。

渋谷)自分は、逆に流されにくい人がいてもいいなと思います。
色んな意見があって、それに全てなるほど、そうしてみようとなると結局何やりたいのかわからなくなり、流されていってしまうと思います。

桝岡)そうですね、受け入れるにもちゃんと「これは譲らない」という芯をしっかり持って居ることが大切だと思います。

-それだけLVSでは色んな人が色んなことを言ってくれるのですね。
村に来てLVSに参加したり、事業を進めていく中で、ご自身の変化は何かありましたか?

渋谷)変化はありました。
すごく人に興味を持つようになりました。
前だと話を聞いても「そうなんですねー」で終わっていたのが、「なぜそう思うのか?」と興味を持つようになりました。
LVSの研修に参加して自分自身に良い影響をもらい、それは事業にも通じています。

桝岡)事業を進めることで、自分の時間は有限で、その中でどれだけぎゅっと過ごせるか意識して過ごすようになりました。
あとは自然と自分を重ねたり、自然とともに時間を重ねているんだなという敬意が増えました。

-お二人とも、村の方々と関係を築くことで事業を進めていかれているのですね。
今お二人の活動を教えて下さい。

渋谷)縫製をOEMでお願いして製品づくりの仕組みが出来、そこから試作して、ようやく今鹿革のカバンが出来てきました。

あと、どうしても出てくる革の端切れを使い切りたいと思って商品づくりもしています。革は色んな方が居て出来るものなので無駄にしたくないと思っています。
3年目の今はどう広げていけるか考え、アウトドアブランドを立ち上げようとしています。第一歩として村内で木工をされている方と一緒に椅子を作ろうとしています。

-桝岡さんも今の事業について教えてください。
桝岡)私はスープを引き続き作りながら、おやつの販売もはじめました。
おやつは家で手作りできるようなシンプルな材料で作った、毎日食べても飽きない味を目指しています。

また、村外にも営業をして、少しずつ販路を増やしています。ふるさと納税の返礼品としても季節のスープを出させていただいています。

今後は実店舗を構えることを目標に物件探しをしていきたいです。
今はコロナ禍で厳しい業界だと思いますが、自分のコアテーマである「子育て中のお母さんたちが赤ちゃんと一緒にホッとできる場所」に向けて進んでいきたいです。
娘たちも私の活動をすごく応援してくれているので、女性としても、お母さんとしても良い背中を見せていけたらいいなと思っています。

-ありがとうございました!お二人の話を聞き、起業に向かう日々に触れることができたと思います。高橋さんと大井さんもありがとうございました。
LVSに少しでも関心のある方は文末のイベントに参加してみてください!


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※②はエントリーには必須参加ですが、①と③は任意参加です。
詳しくはWEBサイトに記載がありますが、どれもLVSや村での起業を感じる機会として設けています。
一方的に説明するだけでなく質問ある人は直接聞けるので、疑問を解消する機会にしてください。