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解説!村のあれって どうなっとん?
西粟倉の「今」を紐解く
今月のテーマ 村の財政ってどうなっとん?
3つの指標でみる村の財政の今とこれから
A.実質公債比率
B.将来負担比率
C.経常収支比率
※先月号とあわせてご覧いただくとより分かりやすくなります。
B.将来負担比率
1.何を見る指標なの?
将来財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標です。一般会計等が将来返済しなければならない負債(※)の標準財政規模に対する割合を示したものです。
(※)負債・・・借入金の残高のほか、退職手当支給予定額に係る負担見込額など
2.基準はあるの?
早期健全化基準 市町村は350%
【行政がすべき事】
早期健全化基準以上の場合には、年度の末日までに、「財政健全化計画」を定めなければなりません。
【財政健全化計画の内容】
- 基準以上になった要因、財政の基本方針、年度ごとの見通しを明記。
- 策定には議会の議決が必要。外部監査の要求を義務付け。
- 実施状況を毎年度議会に報告し公表
- 早期健全化が著しく困難と認められるときは、総務大臣又は知事が必要な勧告を実施。
プラス要因(数値が低くなる)
- 地方債の残高が減る
- 基金が増える
- 企業会計への繰出が減る
- 退職手当負担額が減る
- 税収が増える
- 特定財源が増える
マイナス要因(数値が高くなる)
- 地方債が増える
- 基金が減る
- 企業会計への繰出が増える
- 退職手当負担額が増える
- 税収が減る
- 特定財源が減る
3.悪くなるとどうなるの?
財源の見込みが不十分なまま、将来世代への負担が増えると将来の財政を圧迫する可能性が高くなります。
(岡山県下で算定される自治体は市町村中9団体:令和4年度決算)
【シミュレーションからわかること】
標準財政規模が小さい本村にとって、地方債の活用は各種事業を行うため、必要不可欠です。
地方債は経常的な事業には活用されず、投資的な経費つまり村を活性化させる事業に対して活用されます。
基本的には地方債に加え、補助金等を活用し事業を執行していますが、場合によっては地方債だけで行う事業もあります。
投資的な事業を継続すると、グラフを見てわかるように平成年から令和8年までは投資的経費の増加≒地方債の増加により将来的な負担は増加する見込みです。投資的経費を抑制した場合、令和8年度以降は大きく減少する見込みです。
本村の場合、地方債の現在高と基金の残高が主な要因であることから投資的事業のコントロール、定期的な基金の積み立て、適切な基金運用が鍵であることがわかります。
4.村の数字は?
【グラフからわかること】
平成年度は0%以下のため非表示となっていますが、実際にはマイナス・1%となっています。翌平成年度も同様に0%以下のため非表示となっていますが、実際にはマイナス・7%となりました。しかし平成年度から平成年度にかけて・4%増加しています。この増加の主な原因は、公共施設の建設(平成年度は解体工事)が始まり、工事のための財源として地方債の借入を行い現在高が大きく上昇し、基金を取り崩して執行したため、将来負担に対する充当可能基金が減少したことが挙げられます。以降、解体工事・建設工事と事業費の大きい=借入や基金の取崩しが大きい事業を行っていることから地方債の現在高は上昇していきます。一方でふるさと納税によるむらづくり基金の積立が増加したことや、財政を精査し積立した結果、充当可能基金は徐々に増加となりました。
令和2年度から令和3年度にかけて起債現在高が約5億円程度増加するとともに比率も.0%増加しました。また、令和3年度からは観光施設の建設が始まり令和3年度は除却、令和4年度は繰越事業となったことにより翌年令和5年度の借り入れとなることから令和6年度に令和4年度事業・令和5年度事業分が加算されます。加えて、脱炭素再エネ推進関連事業が令和4年度から5ヶ年計画で始まっており、補助金と地方債により執行することから令和8年度で地方債の現在高は高止まりとなり、以降は減少していきます。
本村は地方債を借入する際は、償還期間年〜年(※地方債の種類・条件にもよります)かつ据置期間なしの条件で借入することが主です。そのため、償還も早く、5年も経過すればおよそ半分は償還していることになりますので将来負担の主たる要因である地方債の現在高の減少は早く、または、事業抑制により制御可能であると言えます。令和8年度以降は地方債の借入額を抑制する方針として財政シミュレーションを作成し算出しています。
その結果、令和9年度には比率は大きく減少し令和元年度〜令和2年度並みに、さらに令和年度には再びマイナスになる見込みです。
標準財政規模:標準的な税収入額等に普通交付税を加算した額
将来負担額:1から10までの合計額
- ー般会計等の当該年度の前年度末における地方債現在高
- 債務負担行為に基づく支出予定額(地方財政法第5条各号の経費に係るもの)
- 一般会計等以外の会計の地方債の元金に充てる一般会計等からの繰入見込額
- 当該団体が加入する組合等の地方債の元金に充てる当該団体からの負担等見込額
- 退職手支給予定額(全職員に対する期末要支給額)のうち、一般会計等の負担見込額
- 地方公共団体が設立した一定の法人(設立法人)の負債の額のうち、当該設立法人の財務・経営状況を勘案した一般会計等の負担見込額
- 当該団体が受益権を有する信託の負債の額のうち、当該信託に係る信託財産の状況を勘案した一般会計等の負担見込額
- 設立法人以外の者のために負担している債務及び当該年度の前年度に、当該年度の前年度内に還すべきものとして当該団体の一般会計等から設立法人以外の者に対して貸付けを行った貸付金の額のうち、当該設立法人以外の者の財務・経営状況を勘案した一般会計等の負担見込額
- 連結実質赤字額
- 組合等の連結実質赤字額相当額のうち一般会計等の負担見込額
・充当可能基金額:1から10までの額等に充てることができる地方自治法第241条の基金
5.村の考え方
前述のとおり、投資的事業の抑制により将来負担比率も抑制が可能となります。しかしながら、標準財政規模が小さい=投資的事業に充当する財源がない本村にとって、地方債を伴う投資なくして村の活性化は困難です。
しかし、必要だからといってすぐに飛び掛かるのではなく、事業の優先順位を付け、必要なタイミング、住民の生活に直接かかわることについては積極的に行っていく等、財政規律にメリハリを付けることで住民生活の安定・充実、村の活性化を図っていく必要があります。
また、基金の運用についても、常に将来を見据えて、積立が可能な時には極力積立てし、計画的に取崩し運用していく必要があります。
「今」だけを見るのではなく「過去」そして「未来」を見据えながら村の財政を考えていきます。
補足(シミュレーション設定条件について)
(1)地方債現在高について償還計画表に基づいて算出しています。令和5年度は「借入協議額」、令和6年度は「当初予算要求額」、令和7年度は「総合振興計画に計上した令和7年度予定事業」に「令和3年度から令和5年度までに計画に計上されていたが予算化されなかった事業の地方債の合計額」を全て執行するものとして加えて算出。令和8年度以降は事業抑制するものとして算出。
(2)公営企業債等繰入見込み額について:平成29年度から令和4年度までの減少平均値を採用
(3)退職手当負担見込額令和4年度実績値を採用。
(4)充当可能基金:(1)などを加味した財政シミュレーションより歳入歳出状況を鑑み適宜補正した基金運用により算出。
(5)基準財政需要額算入見込額前年度3ヶ年平均値を採用。
前号の「実質公債費比率」から今号の「将来負担比率」で重要なカギとなった「地方債」についてですが、「経常収支比率」においても大変重要な要素となっています。次号は、その「経常収支比率」について説明します。
広報にしあわくら3月号全文は以下でご覧ください。
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